『スワンレイクのほとりで』個人的に整理

単元目標(再定義)
言葉にならない感情を扱う経験を通じて、自己理解と言語化の力を育てる。

「未来の子どもたちの学びをどう深めるか」
という観点で、個人的に整理してみる。

心情想像は、本来の意図からずれやすく、
授業ではしばしば「人格想像」へと置き換わってしまう。

これは心理学では“融合訓練”に近く、
子どもに他者の感情を内側に取り込ませる危険がある。

『スワンレイク』は
「心情を当てる教材」ではなく、
「自己理解」と「言葉にできない経験」を扱う教材。

歌と読者が同じ“言葉にならないもどかしさ”
を体験するように構造が設計されている。

本質は、
「通じなかったことから始まる自己理解」
「言葉を獲得していく成長」

にあると考える。

目次

この教材は“心情想像”では扱ってはいけない。

扱うべきは以下の3本柱。

自己理解(言葉にできない自分を掴む力)

歌が「伝わらない」経験を通して、
自分の“ほんとうの感情”に気づく構造。

言語化の困難(書けない・言えないの正体)

読者も歌と同じトラップに落ちる。
「感想文が書けない」という体験そのものが学びになる。

体験による認知変容

通じなかった → もどかしい → 知りたい・伝えたい → 言葉を学びたい
この因果が学習の核と思われる。

授業の観点(絶対に外さない軸)

出来事 → 認知 → 感情 → 言語化の可否

人格を想像させない。
※心理学で言う、融合訓練になり危険であるため

行動の背景構造だけを扱う。

以下は避けたい。

  • 登場人物の性格を想像してみましょう
  • 歌の心情を想像してみましょう
  • グレンの気持ちを考えましょう

→これらは全部、人格想像/投影/融合訓練
「他者を内側に置いて同一化する危険な指導」。

  • 異文化の違いとは何でしょう(授業の目的から一気に逸脱)

「歌がどう思ったか?」→ 心情読み、教材が死ぬ
「この出来事に対してどう思う?」→ 認知へつなげられる

「通じない」経験が、人の内面に何を起こすか

自己理解の入口。

言葉にして伝えるとは何か

言葉は「自分の世界を掴む道具」であり、歌はその最初の一歩を踏み出している。

読者も同じ構造に巻き込まれていることを自覚させる

歌:伝えたいことが分からない、書けない
読者:伝えたいことが分からない、書けない
→ 同じ悩みを共有する教材であること、自分の言葉を掴んで伝えることの難しさの自覚

授業構成(骨格だけ)

  • 導入(1時)
  • 展開(2時)
  • 展開(3時)
  • 展開(4時)
  • まとめ(5時)

① 導入(1時)

読者の状態を先に問う。

「書けない」にフォーカス

  • この物語、感想文書ける?
  • どこが難しい? → 「言葉にならない」が鍵

ここで“歌と読者が同じ構造にいる”ことを示す。

② 展開(2時)

歌の経験した出来事にフォーカス

  • どんな経験をしたのか、見たのか(事実の抽出)
  • 歌が何を思っていたかを抜き出す
  • どこで歌の心境に変化があるかを考える

③ 展開(3時)

「通じなかった」出来事にフォーカス

  • 何が通じなかったのか
  • 歌は何を伝えたかったのか
  • なぜ伝えられなかったのか

ここでは“歌の人格”ではなく、状況の構造を扱う。

④ 展開(4時)

「言葉にできなくて、もどかしかった自分」への気付き

  • 歌は何に気づいたのか
  • なぜもやもやしたのか

ここで児童に
「自分にも言葉にできない感情がある」
と気付かせる。

国語の読みは、「言葉にできない感情」を扱う科目。
児童が“もやもや”に気づくことは、
メタ認知の第一歩となる。

=自己理解の入り口

④ 展開(4時)

認知変容の因果構造を扱う。

Before:通じない/何を伝えたいかわからない/もどかしい

After:もっと知りたい/言葉を学びたい

ここの流れを整備。

登場人物の“考え”がどう変わっていくかを一本の線で示す作業。

「理解の深まりを一本の線で追う」

出来事 → 解釈 → 修正 → 新しい認知
この流れを「認知の変容線」としてつなぐ。

⑤ まとめ(5時)

読者自身の“言葉になる前の感情”を取り出させる

歌は、グレンともっとお話しをしてみたい!
と思ったけれど、この物語を読んで、あなたはどういうところに興味を持った?
この物語を読んで、わたしが「もっと知りたい」と思ったことは何?
② 展開(2時)を元に考える。

  • 異文化をもっと見たいと思った
  • グレンはなぜ車いすなんだろう?と思った
  • 野菜の種類が気になった
  • 海外の動物をもっと知りたい
  • 英語を使って友だちと話してみたい
  • 日本とアメリカの違いを比べてみたい

それに気づいたら、感想文が書けるという仕組みだ。

歌の成長=読者の成長

自分もまた、“言葉の前にある世界”を扱えるようになる。

まとめ

今回の教材について、
未来の子どもたちの学びをどう深めるか
という観点から、わたしが個人的に整理した「指導観点のまとめ」を残しました。

もちろん、現場の先生方の負担を増やす意図は全くない。
誤解のないように言えば、これは「ひとつの案」。

ただ、苦言を呈するなら——
ここから指導案を作るとなると、一気に難易度が跳ね上がる。

なぜか?

指導案は単なる「作業」ではなくて、
原理原則(学びの構造)を理解していないと設計できないものだから。

だから今回は、
指導観点を整理して、“構造を見える化”するところだけを書きました。

個人的な「案」として。
追加もあるかもしれないしね。

ここが崩れてしまうと、
どれだけ時間をかけても、良い授業にはつながらない——
わたしはそう考えてます。

だから、↓このピンクの箇所(国で定まってる題材)に沿って何か作ったら、とんでもない道ができあがるのわかりませんか?

たくさんの人種がいましたね。
どう思いましたか?

人種差別をするのは、よくないと思いました。

たくさんの動物がいましたね。
皆さんは、どんな動物を見たことがありますか?

動物園で、マンドリルを見ました!

白鳥が飛び立つ空をどう思いますか?

とてもきれいだと思いました。
白鳥って飛べるんですね。


先手は原理原則を分かってる指導案を作る側で、
↓こっちは後手じゃないと、ダメだと思う、現状ね。

「スワンレイクのほとりで」を読むことを通して、豊かな情操や道徳心を育むとともに、他者や他文化を理解・尊重しようとする態度を養います。

取り上げる題材についての観点:(イ)想像力(キ)美しいものに感動する心

こんな風にまとめるかな。
わたしならよ。

『スワンレイクのほとりで』では、歌が「通じない」経験を通して自分の感情に気づき、相手を理解したいという願いが芽生える過程が描かれています。

この“気づきのプロセス”こそが、

豊かな情操

=言葉にならない感情を扱う力
(もどかしさ → 理解したい → 歩み寄りたい、という内面の動き)

道徳心

= 他者や文化との違いを尊重する姿勢

歌は、
・言葉が通じない相手
・日本とは違う文化や生活
・車いすで生活するグレン
など、自分とは違う“他者”と向き合う。

未知を恐れず、「その違いに向き合おうとする姿勢」が道徳心の芽になる。

他者・他文化の理解

= “未知”を「もっと知りたい」に変換する認知変容

歌が経験したのは、「分からない」から始まる学び。

通じない
→ もどかしい
→ 知りたい
→ 伝えたい
このプロセスは、まさに他者理解の基礎となる認知変容である。

異文化、言葉の違い、生活の違いを
“よく分からないもの”から
“自分から近づいていきたいもの”へと変換する。

取り上げる題材についての観点:(イ)想像力(キ)美しいものに感動する心

【(キ)美しいものに感動する心】

異文化の体験を通して、見たことのない世界を物語を通して知ることは、
視覚・知覚を通した多様な刺激となり、
その瞬間に生まれる“驚き”や“ときめき”が、
子どもの感動疑似体験を深める。

これが「美しいものに感動する心(キ)」を育む基盤となる。

【(イ)想像力】

歌は「通じない」経験を経て、
相手を理解したい、もっと知りたいと願うようになる。

この
「知らない世界を知ろうとする働き」
「相手に伝えるためには?を考えようとする認知の拡張」

こそが、本来の意味での「想像力(イ)」である。

つまり想像力とは、
他者の人格を当てることではなく、
自分に見えていない領域を掴む力
として位置づけられる。

笑笑。
無理くり感よ。

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